ネクセトールとは?効果・副作用・スタチンとの違いを医師が解説
- 2026年11月6日
- LDLコレステロールについて

LDLコレステロール(悪玉コレステロール) が高く、食事や運動を見直してもなかなか下がらない方や、これまでのコレステロールの薬が体に合わなかった方に、新しい治療の選択肢が加わっています。2025年11月に発売された「ネクセトール®錠180mg」(一般名:ベムペド酸) という薬です。
今回は、ネクセトールがどのような薬なのか、LDLコレステロールを下げる効果や副作用、スタチンとの違いについて、糖尿病・生活習慣病診療を行う医師の立場から、できるだけわかりやすく解説します。
ネクセトール(ベムペド酸) とは?新しいコレステロールの薬
ネクセトール(一般名:ベムペド酸、英語名 bempedoic acid)は、血液中のLDLコレステロールを下げる飲み薬です。大塚製薬から2025年11月に発売され、高コレステロール血症(脂質異常症)と家族性高コレステロール血症が対象です。1日1回、180mgの錠剤を飲みます。 ネクセトールは、肝臓の中でコレステロールが作られる過程で「ATPクエン酸リアーゼ」という酵素の働きを抑えることで、血液中のLDLコレステロールを減らします。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」,大塚製薬「高コレステロール血症治療薬『ネクセトール®錠』の発売について」
これまでよく使われてきたスタチンとは少し違う薬
コレステロールを下げる薬として、これまで広く使われてきたのが「スタチン」と呼ばれる薬です。ロスバスタチン(クレストール®)やアトルバスタチン(リピトール®)などが代表的です。
スタチンは肝臓でコレステロールを作る過程で「HMG-CoA還元酵素」という酵素を抑えます。一方、ネクセトールは、その酵素よりも上流にある「ATPクエン酸リアーゼ」という酵素を抑えます。つまり、コレステロールを作る過程で「別の工程」にブレーキをかける薬です。そのため、これまでスタチンだけではLDLコレステロールが十分に下がらなかった方やスタチンが体に合わなかった方に、追加の選択肢となる薬です。
ただし「スタチンより安全」「副作用がない」という意味ではありません。それぞれに特徴があり、患者さんの状態に合わせて使い分けます。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」

ネクセトールはどんな人に使う薬?
添付文書では、スタチンで効果が不十分な方、またはスタチンの副作用の経験などで使いにくい方が対象とされています。LDLが高ければ最初から使う薬ではありません。スタチンが使える方は、スタチンに追加する形が基本です。
スタチンを使える方では、ネクセトールだけに切り替えるのではなく、スタチンと一緒に使うことが基本となります。つまり「新薬だから今までの薬より上」というものではなく、今までの治療だけでは十分ではないときに使える新しい選択肢の一つです。
※LDLの目標値は、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」で、糖尿病、高血圧、喫煙、心筋梗塞の既往などのリスクごとに決められています。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」
ネクセトールでLDLコレステロールはどのくらい下がる?
臨床試験(日本人96人が参加した国内第3相試験(CLEAR-J))では、 ネクセトールを12週間服用したところ、LDLコレステロールが平均で約25%下がりました。例えばLDLコレステロールが160mg/dLだった方で単純に25%下がるとすると、120mg/dL前後になる計算です。
ただし、これは試験で得られた平均値であり、すべての患者さんで同じ効果が得られるわけではありません。実際にどのくらい下がるかには個人差があります。もともとのLDLの値や、一緒に使っている薬によっても効果は変わります。海外の大規模な臨床試験(CLEAR Outcomes試験:スタチンを使いにくい約1万4千人を約3年追跡)では、心筋梗塞や脳卒中などの主要な心血管イベントが約13%減り、心筋梗塞と冠動脈の再建術は約2割減りました。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」,Nissen SE, et al. N Engl J Med. 2023
ネクセトールの副作用は?尿酸値が高い方は注意
ネクセトールを飲むときに、特に注意したいのが「尿酸値」です。尿酸値が高くなることがあり、もともと尿酸値が高い方や、過去に痛風になったことがある方では注意が必要です。痛風は、足の親指の付け根などに突然強い痛みが出る病気です。過去に痛風を経験した方や尿酸値が高い方は、治療開始前に医師へ伝えてください。
そのほか、肝臓や腎臓に関係する血液検査の数値が変化することもあります。スタチンと一緒に使う場合には、筋肉痛や強いだるさなどがないかを確認することも大切です。また、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は使えません。妊娠を考えている方も事前に相談してください。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」
ネクセトールは2026年12月から14日分の処方制限がなくなります
新しく発売された薬は、薬価収載 (発売)から一定期間、1回に処方できる日数が14日分までに制限されます。
ネクセトールも現在は1回14日分までですが、この制限は2026年11月末で終わる見込みです。 そのため、2026年12月からは「必ず2週間ごとに受診しなければならない」という新薬特有の制限がなくなります。
ただし、12月から全員が30日分、60日分、90日分を処方されるという意味ではありません。患者さんの状態や治療を始めてからの経過を見ながら、医師が適切な処方日数を決めます。
参考:PMDA「ネクセトール錠180mg 添付文書」,大塚製薬「高コレステロール血症治療薬『ネクセトール®錠』の発売について」
まとめ
ネクセトール(一般名:ベムペド酸)は、LDLコレステロールを下げる新しい飲み薬です。特に、スタチンだけではLDLコレステロールが十分に下がらない方や、スタチンによる治療が難しい方にとって、新しい治療の選択肢となります。
一方、尿酸値上昇や痛風などの副作用にも注意が必要で、すべての方に必要な薬ではありません。コレステロールの治療では、LDLの数値だけを見るのではなく、糖尿病、高血圧、喫煙、年齢なども含めて、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを考えることが大切です。
つねだクリニックでは、コレステロールだけでなく、糖尿病、高血圧、体重なども含めて生活習慣病を総合的に診療しています。女性医師も在籍し、駐車場もございます。
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(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)