健康診断でLDLコレステロールが高いと言われたら?140・160・180の意味と治療の目安を医師が解説
- 2026年10月23日
- LDLコレステロールについて

健康診断で「LDLコレステロールが高い」「脂質異常症」「要再検査」と書かれていると「私病気かも?」「薬を飲まないといけない?」と不安になる方も多いと思います。
LDLコレステロールは一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。数値が高い状態が長く続くと、血管が硬くなる 動脈硬化が進み、将来的に心筋梗塞や脳梗塞という命に関わるリスクを高めます。
ですが、全員が同じ数値で同じ治療をスタートするわけではありません。 日本動脈硬化学会のガイドラインでは、将来の病気のリスクに応じて脂質管理の目標値を設定しています。
今回は、健康診断でLDLコレステロールが高いと言われた方に向けて、140・160・180mg/dLの考え方や原因、再検査、治療についてわかりやすく解説します。
健康診断でLDLコレステロールが高いと言われたら?
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、LDLコレステロール140mg/dL以上を「高LDLコレステロール血症」、120〜139mg/dLを「境界域高LDLコレステロール血症」としています 。
ただし、これは脂質異常症を見つけるための診断基準です。140mg/dLを超えたら必ず薬が必要という意味ではありません。 LDLの値だけでなく、年齢、血圧、糖尿病、喫煙、腎臓病、心筋梗塞などの既往を含めて、将来の動脈硬化リスクを考えます。
例えば、同じLDL 150mg/dLでも、ほかに危険因子がない方と、糖尿病や高血圧がある方では、治療の考え方が変わります。

参考:
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
LDL 140・160・180mg/dLの意味とは?
LDLコレステロール140mg/dL以上であれば高LDLコレステロール血症に該当します。160mg/dLはさらに高い値ですが「160を超えたら薬」といった一律の線引きはありません。治療では、患者さんのリスク区分に応じて目標値を決めます。
同じLDL 160でも、他にリスクのない方と、糖尿病や高血圧、喫煙習慣がある方とでは治療の考え方が変わります。
一方、未治療のLDLコレステロールが180mg/dL以上の場合には、家族性高コレステロール血症(FH)の可能性も確認することが大切です。FHは生まれつきLDLが高くなりやすい遺伝性の病気で、日本では200〜300人に1人程度とされ、決して珍しくありません。若い頃から動脈硬化が進むことがあります 。
「180以上だから必ずFH」というわけではありません。ただ、アキレス腱が厚い、家族に若くして心筋梗塞になった方がいる、といった場合は医師に伝えましょう。
LDLコレステロールの治療目標値は?リスク別に解説
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、心筋梗塞や脳梗塞などの予防を目的として、リスクに応じた脂質管理目標値を定めています。
初めて治療する方の「一次予防」では、低リスクの方はLDLコレステロール 160mg/dL未満、中リスクの方は140mg/dL未満、高リスクの方は120mg/dL未満が目標です。
一方、すでに冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞を発症したことがある方の「二次予防」では、LDLコレステロール 100mg/dL未満が基本となり、患者さんの状態によっては70mg/dL未満を目指します。
なお、糖尿病や慢性腎臓病などがある方は、リスクをより慎重に評価する必要があります。目標値は自己判断せず、医師と相談して決めましょう。


LDLコレステロールが高くなる原因
「コレステロールが高い=脂っこいものの食べ過ぎ」と思われがちですが、食事だけが原因ではありません。肉の脂身やバターなどに多い飽和脂肪酸のとり過ぎはLDLコレステロールを上昇させますが、遺伝や体質、加齢の影響も大きく、痩せている方や健康的な食事をしている方でも高くなります。 女性では、閉経後に女性ホルモンが減ってLDLコレステロールが上がりやすくなります。
また、甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群など、別の病気によってLDLコレステロールが上昇する「続発性(二次性)脂質異常症」もあります。急に数値が上がった場合などには、必要に応じて甲状腺機能や腎機能なども確認します。
LDLコレステロールが高いまま放置するとどうなる?
高LDLコレステロール血症の注意点は、ほとんどの場合、自覚症状がないことです。しかし、LDLが高い状態が長期間続くと、体調がよくても血管の壁にコレステロールがたまり、少しずつ動脈硬化が進んでいる可能性があります。
動脈硬化が心臓の血管で進めば狭心症や心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞につながる可能性があります。
海外の大規模研究では、LDLコレステロールを約39mg/dL下げるごとに、主要な血管イベントのリスクが約20〜22%低下しました。日本人を対象としたMEGA研究でも、スタチン治療で冠動脈疾患が減ることが示されています。ただし、リスクの下がり方は病状によって異なります。症状がなくても、早めに対策することが大切です。
参考:
Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of more intensive lowering of LDL cholesterol. Lancet. 2010;376:1670–1681.
Nakamura H, et al. (MEGA Study). Lancet. 2006;368:1155–1163.
再検査では何を調べる?LDLが高い場合は何科を受診する?
健康診断でLDLコレステロールが高いと指摘されたら、まずは内科に相談しましょう。過去数年分の健診結果があれば、以前から高いのか、最近上がったのかがわかり、診断に役立ちます。
診察ではLDLコレステロールだけでなく、HDLコレステロール、中性脂肪、血圧、血糖値、HbA1cなども確認します。必要に応じて、甲状腺機能や腎機能、肝機能などを調べることもあります。
特に糖尿病、高血圧、慢性腎臓病、喫煙習慣がある方は、動脈硬化リスクを慎重に評価します。「LDLがいくつなら薬?」と数値だけで決めず、全身の状態から判断することが大切です。
LDLコレステロールを下げるには?薬物治療について
治療の基本は、食事や運動などの生活習慣の改善です。肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸をとり過ぎないようにし、魚、大豆製品、野菜、食物繊維を含む食品を取り入れましょう。適度な運動や禁煙も重要です。
ただし、遺伝や体質の影響が強い方では、生活習慣を改善してもLDLが十分に下がらないことがあります。また、糖尿病や慢性腎臓病、心筋梗塞などの既往がある方では、薬物治療を検討する場合があります。
代表的な薬はスタチンで、ロスバスタチン(クレストール®)、アトルバスタチン(リピトール®)、ピタバスタチン(リバロ®)などがあります。小腸での吸収を抑えるエゼチミブ(ゼチーア®)を併用すると、心血管イベントがさらに減ったと報告されています。さらに、2025年11月に発売されたベムペド酸(ネクセトール®)は、肝臓でのコレステロール合成を抑える新しいタイプの内服薬で、スタチンで効果が不十分な方や、スタチンによる治療が適さない方などに使用されます。
また、それでも効果が不十分な高リスクの方やFHの方には、注射薬のPCSK9阻害薬(エボロクマブ〈レパーサ®〉、アリロクマブ〈プラルエント®〉)を使う場合もあります。
薬の種類や量は、リスクや目標値、効果、副作用などを考慮して決めます。自己判断で中止せず、医師と相談しながら治療を続けましょう。
治療薬の種類については、当院の「コレステロール治療薬とは?その種類と選び方について」でも詳しく解説しています。
参考:
Cannon CP, et al. (IMPROVE-IT). N Engl J Med. 2015;372:2387–2397.
まとめ
LDL 140mg/dL以上は高LDLコレステロール血症に該当しますが、140や160を超えたら必ず薬が必要というわけではありません。リスクに応じて目標値を設定し、生活習慣の改善と必要な薬物治療を行うことが大切です。未治療でLDL 180mg/dL以上の方は、家族性高コレステロール血症の可能性も含めて、一度医療機関で相談しましょう。
つねだクリニックは兵庫県伊丹市の内科・糖尿病内科・甲状腺内科です。当院の医師は糖尿病を専門としており、コレステロールだけを見るのではなく、血糖、血圧、体重など生活習慣病全体を含めて診療しています。女性医師も在籍し、9台分の駐車スペースもご用意しています。
伊丹市をはじめ、川西市、宝塚市、尼崎市、池田市などにお住まいで「健診でLDLが高かったけれど、病院へ行くべきかわからない」「薬が必要なのか相談したい」という方も、どうぞ気軽にご相談ください。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)