睡眠時無呼吸症候群の症状と診断方法とは?見逃してはいけないサイン
- 2024年8月25日
- 睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群の症状を徹底解説
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまうことで、さまざまな健康リスクを引き起こす疾患です。英語でのSleep Apnea Syndromeの頭文字をとって医療業界ではSAS(サス)と略して言われることもあります。
一般的には睡眠中の10秒以上の無呼吸を指しますが、
✔️1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上
✔️いびきや日中の強い眠気などの自覚症状がある
上記を満たした方が睡眠時無呼吸症候群の診断に至ります。
日本においては、約300万人以上の方が罹患していると推定され、成人の約2〜3%が罹患しているとされています。特に、40歳以上の男性では10%前後と多い傾向にあります。
この疾患の症状を理解することは、早期発見と治療につながり、健康リスクを軽減することに繋がります。
代表的な睡眠時無呼吸症候群の症状とは?
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状には、
✔️いびき
✔️睡眠中の呼吸停止
✔️日中の強い眠気
✔️夜中に何度も目が覚める
✔️熟睡感がない
✔️頻回に寝返りをうつなどの異常体動
✔️朝起きたときに頭痛を感じる
✔️集中力が低下する
が挙げられます。
ほとんどの方で起こる、いびきや無呼吸(呼吸提訴)などの症状は自覚しにくいことが多く、家族やパートナーの指摘で初めて気づくケースも少なくありません。こうした症状が続く場合、早めに医師の診察を受けることが重要です。
いびきと呼吸停止の関係
睡眠時無呼吸症候群の症状として、いびきは非常に重要なサインです。いびきは、気道が狭くなることで生じますが、無呼吸が発生すると一時的に呼吸が止まり、いびきも止まります。その後、再び呼吸が始まるとともに大きないびきが発生するのが特徴です。この繰り返しにより、睡眠の質が低下し、体が十分に休息できなくなります。無呼吸の回数が多いほど、健康リスクが高まるため、いびきは放置しないようにしましょう。
日中の眠気や集中力低下の原因
睡眠時無呼吸症候群の影響で夜間に十分な休息が取れないと、日中に強い眠気を感じたり、集中力が低下することがあります。これは、無呼吸によって何度も睡眠が中断されるため、深い眠りに入れず、脳や体が十分に回復しないためです。その結果、仕事中や運転中に眠気を感じることが増え、事故やミスのリスクが高まります。日中の眠気や集中力の低下は、睡眠時無呼吸症候群の重要な警告サインだと言えます。
睡眠時無呼吸症候群の診断方法とは?
睡眠時無呼吸症候群を適切に診断することは、早期治療と健康リスクの軽減に重要です。自己診断のチェックリストや医師による専門的な診断、そして精密検査が診断の柱となります。
無呼吸症候群の自己診断チェックリスト
睡眠時無呼吸症候群の自己診断は、いくつかの簡単な質問に答えることで行うことができます。
✔️いびき
✔️睡眠中の呼吸停止
✔️日中の強い眠気などの症状
✔️肥満体型
✔️高血圧である
✔️心臓の病気がある
✔️糖尿病である
これらの項目が1つでも当てはまる方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、医師に相談し、診断を受けることをお勧めします。
また、別の自己診断として、エプワース眠気尺度問診票があります。
エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale:ESS)問診票
全項目の合計
上記が11点以上の場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われますので受診、精密検査をお勧めします。
医師による診断の流れと検査内容
医師による診断では、まず患者の症状や生活習慣について詳細な問診が行われます。その後、必要に応じて身体検査や睡眠中の呼吸の状態を確認するための検査が実施されます。最も一般的な検査は、ポリソムノグラフィー(Polysomnography:PSG)と呼ばれる精密な睡眠検査です。これにより、睡眠中の呼吸のパターンや無呼吸の頻度、酸素飽和度などを詳細にモニタリングします。これらのデータを基に、睡眠時無呼吸症候群の有無やその重症度が判断されます。
ポリソムノグラフィー検査の詳細とその重要性
ポリソムノグラフィー検査は、睡眠時無呼吸症候群を診断するための最も信頼性の高い検査方法です。この検査では、睡眠中の脳波、呼吸パターン、心拍数、酸素飽和度、体の動きなど、さまざまな生体信号が記録されます。検査は専門の施設で行われ、患者は一晩入院しながらモニタリングを受けます。ポリソムノグラフィーによって、無呼吸の回数や重症度を正確に把握でき、最適な治療方針を立てるための重要なデータが得られます。また、最近では入院をせずに自宅で御自身で取り付けして行う簡易ポリソムノグラフィー検査が主流であり、その名の通り簡易に検査を行って診断することも可能です。
睡眠時無呼吸症候群の症状が引き起こすリスク
睡眠時無呼吸症候群は、単なる睡眠障害にとどまらず、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。特に、心疾患や脳卒中、高血圧、糖尿病といった重大な疾患との関連性が指摘されています。ここでは、睡眠時無呼吸症候群がもたらす具体的な健康リスクについて詳しく解説していきます。
心疾患や脳卒中のリスク
睡眠時無呼吸症候群は、心疾患や脳卒中のリスクを大幅に高めることが知られています。無呼吸が繰り返されることで、体内の酸素供給が不安定になり、心臓や脳に過剰な負担がかかります。その結果、血圧が上昇し、動脈硬化が進行するリスクが増大します。これにより、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まります。そのため、特に高血圧の方や心臓病の既往歴がある方は、睡眠時無呼吸症候群の管理が非常に重要です。
高血圧や糖尿病との関連性
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病とも密接に関連しています。無呼吸が続くことで、交感神経が過剰に刺激され、血圧が持続的に上昇する原因となります。さらに、睡眠の質の低下により、インスリン抵抗性が高まり、糖尿病のリスクが増加します。これらの疾患は、生活習慣病として知られており早期発見と適切な治療が重要です。睡眠時無呼吸症候群の治療を通じて、高血圧や糖尿病の管理が改善されるケースも多く報告されています。
精神的健康への悪影響と対策
睡眠時無呼吸症候群は、精神的な健康にも深刻な影響を及ぼします。夜間の睡眠不足や断続的な無呼吸によって、日中の眠気や疲労感が強まり、イライラや不安感が増すことがあります。これが長期にわたると、うつ病や不安障害のリスクが高まることもあります。精神的な健康を維持するためには、無呼吸症候群の適切な治療と、ストレス管理、リラックス法の導入が効果的です。医師との相談を通じて、症状に合わせた対策を講じることが重要です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると心疾患や脳卒中、高血圧、糖尿病、さらには精神的な健康問題を引き起こす可能性がある見逃してはいけない疾患です。早期に症状を認識し、適切な診断と治療を受けることが、健康を維持するためには不可欠です。ポリソムノグラフィーなどの精密検査を通じて、無呼吸の程度を把握し、最適な治療法を選ぶことが重要です。また、睡眠時無呼吸症候群のリスクが疑われる場合は、自己診断だけでなく、医師の診察を受けることをお勧めします。
伊丹市、川西市、宝塚市にお住まいの皆さま、睡眠時無呼吸症候群に関するお悩みがある方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。皆さまの健康寿命を1日でも延ばせるよう、スタッフ一同全力でサポートさせて頂きます。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)