日本人に多い病気ランキング~高血圧・糖尿病・脂質異常症が増える理由を医師が解説

40代・50代になると、健康診断で「血圧が高いですね」「血糖値が少し高めです」「コレステロールが上がっています」と指摘される機会が増えてきます。しかし実際には「日本人に多い病気は何なのか?」「自分が将来どのような病気になりやすいのか?」を正しく理解している方は多くありません。
私自身、伊丹市で糖尿病内科医として診療していますが、健康診断をきっかけに受診される患者さんの多くが「症状はないけれど数値が気になる」という状態です。
そこで本記事では、厚生労働省の患者調査や国民生活基礎調査などの公的統計をもとに、日本人に多い病気や生活習慣病の特徴について解説します。実は、日本人が将来どんな病気になりやすいのかを正しく知ることは、最高の予防になります。そこで今回は、国の最新データをもとに「日本人に多い病気」をランキング形式で分かりやすく解説します。
日本人の病気ランキングはどのようなデータをもとに作られているのか?
「日本人に多い病気ランキング」と検索すると多くの記事が見つかりますが、実は厚生労働省が公式に病気ランキングを発表しているわけではありません。そのため本記事では、「厚生労働省の患者調査」「国民生活基礎調査」「国民健康・栄養調査」などを参考に、日本人に多くみられる病気を整理しています。
また、病気の多さを考える際には、「罹患率(新たに病気になる割合)」と「有病率(現在病気を持っている割合)」の違いを理解することも重要です。
【参考文献】
厚生労働省「患者調査」
厚生労働省「国民生活基礎調査」
厚生労働省「国民健康・栄養調査」
日本人に多い生活習慣病ランキング!あなたは「何人に一人」?
厚生労働省の統計をもとに、患者数が多い「生活習慣病ランキング」を作ると次のようになります。
第1位:高血圧症(約4,300万人:約3人に1人)
第2位:脂質異常症(約2,200万人:約6人に1人)
第3位:糖尿病(糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人、予備群まで含めると約2,000万人:約5人~6人に1人)
また、年齢を重ねるにつれて、腰痛症、変形性膝関節症、白内障、骨粗しょう症なども増加していきます。
これらの病気に共通する特徴は、初期には自覚症状が少ないことです。例えば高血圧症はかなり進行するまで症状が出ないことも珍しくありません。糖尿病も同様で、健康診断で初めて異常を指摘されるケースが多くあります。
実際の診療でも「症状はないが健康診断で引っかかった」という理由で受診される患者さんが非常に多く、症状が出る前に病気を見つけることの重要性を日々実感しています。
【参考文献】
厚生労働省「国民生活基礎調査」
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2024」
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
日本人に多い生活習慣病とは?
生活習慣病とは、食事・運動不足・睡眠・喫煙・飲酒・ストレスなどが長年積み重なることで起こる病気の総称です。
代表的なのは
・高血圧症
・糖尿病
・脂質異常症
・高尿酸血症・痛風
・脂肪肝(MASLD)
・慢性腎臓病(CKD)
です。
実は最近では、「肥満よりも筋肉量の低下(サルコペニア)」が糖尿病や脂質異常症の原因になることも注目されています。日本人は欧米人よりBMIが低くても内臓脂肪がつきやすく、「見た目はやせているのに糖尿病」という方も少なくありません。
糖尿病専門医として診療していると、糖尿病だけで受診された患者さんの約半数以上が高血圧や脂質異常症も合併しています。そのため、一つだけを治療するのではなく、全身の健康状態を総合的に管理することが重要です。

健康診断で異常を指摘されやすい項目とは?
健康診断後に当院へ相談に来られる患者さんで特に多いのが、
・HbA1c
・空腹時血糖
・LDLコレステロール
・中性脂肪
・血圧
・尿酸値
・AST/ALT(肝機能)
です。
HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖を反映する重要な指標で、糖尿病の診断や治療効果判定に欠かせません。当院では院内で迅速HbA1c測定が可能で、その日のうちに結果をご説明できます。
また、LDLコレステロールや中性脂肪の異常は動脈硬化の進行につながり、将来的には心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
「まだ薬を飲むほどではないと言われたから大丈夫」と考える方もいますが、健康診断で異常が出た時点で生活習慣の見直しを始めることが大切です。
【参考文献】
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」
なぜ生活習慣病が日本人に増えているのか?
原因は単なる食べ過ぎではありません。生活習慣病が増加している背景には、日本の高齢化だけでなく、生活環境の変化があります。
最近では、
・運動不足
・睡眠不足
・長時間座る生活
・ストレス
・加工食品の増加
・高齢化
などが複雑に絡み合うことで高血圧症や糖尿病、脂質異常症を発症しやすくなります。さらに、これらの病気は初期にはほとんど症状がないため、異常があっても受診が遅れることがあります。
生活習慣病は「症状が出てから治療する病気」ではなく、「症状が出る前から管理する病気」と考えることが大切です。
さらに意外なことに、「1日8時間以上座る生活」そのものが糖尿病や心血管疾患のリスクを高めることが海外の大規模研究でも報告されています(Biswasら、Ann Intern Med 2015)。
【参考文献】
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2024」
病気の患者数と死因は必ずしも一致しない!?
「患者数が多い病気=命に関わる病気」と思われがちですが、実際はそうではありません。日本人の死因のトップ3は「がん」「心疾患(心筋梗塞や心不全)」「脳卒中」です。一見、ランキング1位の高血圧や3位の糖尿病は入っていないように見えます。
しかし、ここに落とし穴があります。高血圧や糖尿病、脂質異常症を何年も放っておくと、血管がボロボロになる「動脈硬化」が進みます。その結果、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中という命に関わる大病を引き起こすのです。つまり、生活習慣病を治療することは、将来の重大な死因を未然に防ぐことに直結しています。
実際の診療でも「もっと早く受診していれば防げたかもしれない」と感じる場面は少なくありません。症状がないうちに対策を始めることが、10年後・20年後の健康を守る最大のポイントです。
【参考文献】
厚生労働省「人口動態統計」
日本循環器学会「心血管病予防ガイドライン」
まとめ
日本人に多い病気の上位には、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病が並びます。これらは日本人の3〜6人に1人が関わる非常に身近な病気ですが、初期にはほとんど症状がありません。そのため、健康診断で異常を指摘された段階で早めに医療機関を受診することが、脳卒中・心筋梗塞・慢性腎臓病などの重い合併症を防ぐ近道です。
つねだクリニックでは、糖尿病専門医による専門外来を中心に、高血圧症・脂質異常症・甲状腺疾患など生活習慣病を総合的に診療しています。院内で迅速HbA1c測定が可能なため、その日のうちに血糖状態をご説明できるほか、医師による甲状腺エコー検査・結果説明にも対応しています。また女医も在籍しており、相談しやすい環境づくりを心掛けています。
駐車場も完備しており、伊丹市だけでなく、宝塚市、川西市、尼崎市、池田市などからも多くの患者さんにご来院いただいています。
健康診断結果が気になる方や生活習慣病について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)

