いまさら聞けない糖尿病の基本③ 糖尿病の薬の種類
- 2025年3月16日
- 糖尿病について
糖尿病の治療薬とは?基本の知識
糖尿病の治療薬は、「血糖値を適切にコントロールするための薬」です。主に2型糖尿病患者さんに使用されますが、重症度や合併症の有無によって、異なるタイプの薬が処方されます。
糖尿病治療の3本柱
✔ 食事療法:糖質制限やカロリー管理
✔ 運動療法:適度な運動で血糖値を下げる
✔ 薬物療法:食事・運動で十分に血糖管理ができない場合に使用
「薬を飲み始めたら一生続けないといけない?」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、生活習慣の改善によって薬を減らしたり、中止することも可能です。糖尿病の薬にはさまざまな種類があり、患者さんの病態に応じて適切なものが選ばれます。ここでは、糖尿病治療薬の種類や特徴、服用の際の注意点について詳しく解説します。
糖尿病の薬はどのように作用するのか?
糖尿病の薬は、主に次の3つの作用メカニズムに分類されます。
インスリンの分泌を促す薬
膵臓に働きかけ、インスリンの分泌を増やすことで血糖を下げる。
✔DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブなど)
✔GLP-1受容体作動薬(オゼンピック。マンジャロなど)
✔スルホニル尿素薬(アマリールなど)
インスリンの働きを助ける薬
インスリン抵抗性を改善し、血糖を効率よく下げる。
✔メトホルミン(ビグアナイド系)(メトグルコなど)
✔チアゾリジン薬(アクトスなど)
糖の吸収・排出を調整する薬
小腸や腎臓で糖の吸収・排出を調整し、血糖値の上昇を抑える。
✔SGLT2阻害薬(フォシーガ、ジャディアンスなど)
✔α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイなど)
経口薬と注射薬の違い
糖尿病の薬には 経口薬(飲み薬) と 注射薬 の2種類があります。
✔経口薬(飲み薬):2型糖尿病の患者さんが中心。比較的手軽に服用できるが、薬によっては低血糖のリスクがある。
✔注射薬(インスリン・GLP-1受容体作動薬):1型糖尿病や、2型糖尿病で血糖コントロールが困難な場合に使用される。
「注射は怖いから飲み薬がいい!」と思う方も多いですが、近年の注射薬は使いやすく、副作用が少ないものも増えています。
糖尿病の薬の種類と特徴
糖尿病の薬は作用の違いによって分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。
DPP-4阻害薬とは?インクレチンの働きを活かした薬
商品名:ジャヌビア、グラクティブ、トラゼンタ、テネリア、ネシーナ、エクア、スイニーなど
DPP-4阻害薬 は 「インクレチン」 というホルモンの働きを強めることで、血糖値を下げる薬です。DPP-4阻害薬は、日本で最もよく使われている糖尿病の飲み薬の一つです。
- インクレチン:食事をすると小腸から分泌され、膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促す。
- DPP-4阻害薬 は、インクレチンを分解する酵素(DPP-4)をブロックし、インクレチンの作用を持続させる。
メリット
低血糖のリスクが少なく、比較的安全な薬。
デメリット
食事の影響を受けやすいため、服用のタイミングが重要。
SGLT2阻害薬とは?糖を尿と一緒に排出する薬
商品名:フォシーガ、ジャディアンス、スーグラ、ルセフィ、カナグル、デベルザなど
SGLT2阻害薬 は、腎臓で糖を再吸収する働きを抑え、尿として糖を排出することで血糖値を下げる薬です。「余分な糖を尿から出す」という新しいタイプの薬です。
メリット
- 体重が減少しやすく、肥満の患者さんに適している
- 血圧低下の効果も期待できる
- 動脈効果進行予防効果の研究結果が出ている
- 低血糖のリスクが少ない
デメリット
- 尿の中に糖が増えるため、尿路感染症・性器感染や脱水に注意が必要
メトホルミンとは?インスリン抵抗性を改善する薬
商品名:メトグルコ
メトホルミン は、インスリンの働きを改善し、肝臓での糖の産生を抑えることで血糖値を下げる薬です。糖尿病治療の「第一選択薬」として「糖尿病治療の王道」ともいえる薬です。
メリット
- 血糖値を穏やかに下げる
- 体重が増えにくい
デメリット
- 胃腸への副作用(下痢・腹痛)が出やすい
- 造影剤を使用した検査の場合、一時的に休薬が必要
GLP-1受容体作動薬とは?食欲を抑える効果も
商品名:トルリシティ、ビクトーザ、オゼンピック、リベルサス、マンジャロなど
GLP-1受容体作動薬 は、インクレチン(GLP-1)の作用を強め、インスリンの分泌を促進する注射薬 です。ダイエット効果も期待されるため、最近注目されている薬です。
メリット
- 血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑える効果がある
- 体重減少(ダイエット効果)が期待できる
- 注射薬については、週1回注射で可能
デメリット
- 注射薬が多いため、患者さんによっては抵抗感がある
- 飲み薬(リベルサス)は特殊な飲み方。
- ※空腹時にコップ1杯の水と内服し、以後30分飲み食いなし。
糖尿病の薬を正しく使うために
糖尿病の薬は、適切なタイミングと方法で服用することが重要です。
低血糖のリスクと対策
糖尿病の薬の中には、血糖値を下げすぎるものもあり、低血糖(血糖値70mg/dL以下) を引き起こすことがあります。
低血糖の症状
- 冷や汗、動悸、ふるえ
- 強い空腹感、めまい
- 意識障害(重症の場合)
対策
- 砂糖を含む飲み物(ジュースなど)を摂取
- 低血糖を防ぐために、食事と薬のタイミングを守る
糖尿病の薬の副作用と注意点
糖尿病の薬には、副作用がある場合もあります。
✔DPP-4阻害薬:発疹や胃腸症状が出ることがある
✔SGLT2阻害薬:脱水や尿路・性器感染症に注意
✔メトホルミン:胃腸症状が出ることがある
✔GLP-1受容体作動薬:吐き気や便秘の副作用がある
薬を安全に使用するために
✔副作用が出た場合は医師に相談
✔定期的な血液検査で腎機能や肝機能をチェック
まとめ
糖尿病の薬にはさまざまな種類があり、正しく使えば大きな味方になります。それぞれの薬の特徴を理解し、適切に服用することで、血糖コントロールを最適化できます。
伊丹市、川西市、宝塚市にお住まいの方で、糖尿病の薬について疑問がある方は、お気軽に当クリニックへご相談ください。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)