高血圧をコントロールするための効果的な方法とは?|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

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高血圧をコントロールするための効果的な方法とは?|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

高血圧をコントロールするための効果的な方法とは?

高血圧とは?基本知識を押さえよう

高血圧は、多くの日本人が抱える健康問題の一つです。血圧が正常範囲を超えて高い状態が持続することを指し、心臓や血管に過剰な負担をかけるため、放置すると深刻な健康リスクを招くことがあります。高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、症状が現れにくいため、知らず知らずのうちに高血圧持続に伴う心臓・脳血管・腎臓などの病気が進行してしまうことが多いです。まずは、高血圧の定義と診断基準について説明します。

高血圧の定義と診断基準

高血圧の定義は、一般的に収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の状態が続くことを指します。血圧は一日の中で変動するため、一度の測定で高血圧と診断できず、通常は複数回の測定結果をもとに診断されます。診断基準としては、日本高血圧学会のガイドラインに基づき、家庭での血圧測定結果や医療機関での測定結果を総合的に判断します。家庭での血圧測定は、特に診断の精度を高めるために推奨されています。

血圧の測り方

✔毎日同じ時間帯に測定

✔リラックスして測定

✔正しい姿勢で測定

✔記録をつけて自己管理

血圧は1日の中でも変動しやすく、一般的には朝が高めになると言われています。そのため、自宅で測定する際は原則として1日2回(朝・晩など)同じ時間帯に測定することが大切です。また、血圧は食事・運動やストレスなどでも変動しやすいため、リラックスして測ることも大切です。朝は排尿を済ませて食事よりも前に、夜は食事や入浴の直後を避けて寝る前に椅子に座って少しリラックスしてから測定することが大切です。血圧計については測定の際、カフ(腕帯)は心臓の高さになるよう正しい姿勢で測定するよう気をつけましょう。その上で、日々の血圧測定した値を血圧手帳またはアプリに記録することが御自身の健康管理に何よりも大切です。

降圧目標

※一部省略

※日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編.高血圧治療ガイドライン2019参照

高血圧の原因とリスク要因

高血圧の原因には、遺伝的要素や生活習慣、環境要因があります。血の繋がった家族に高血圧の人がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。生活習慣では、塩分の過剰摂取や高脂肪食、運動不足、肥満、喫煙、過度の飲酒が高血圧のリスクを増大させます。また、気温・天候やストレスも血圧を上昇させる要因となります。都市部の生活は農村部と比べて高血圧のリスクが高いことが報告されており、これはストレスや不健康な生活習慣が影響していると考えられます。医療機関に受診した際の血圧は様々な要因(歩いてきた/走ってきた後のストレス、非日常空間でのストレス、医師・看護師に測定される緊張など)が重なり本来の血圧と比べて10〜15mmHg程高くなる方が多い傾向にあります。そのため、可能な限り家庭での定期的な血圧測定をお勧めします。

高血圧の主な症状と影響

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように、自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、放置すると深刻な健康問題を引き起こします。自覚症状として典型的な症状では、頭痛、めまい、動悸、息切れなどがあります。これらの症状が現れた時には、すでに血圧が高くなっている可能性があります。私の患者さんの中にも片頭痛などの頭痛持ちだと思われていた方でも実は高血圧が原因だと判明し、血圧が下がることで頭痛がなくなったという方も多くいらっしゃいます。そのため、頭痛、めまい、動悸、息切れなどの症状がある場合、まずは血圧を測定してみることをお勧めします。また、高血圧の影響は、心臓病や脳卒中を含む脳血管疾患、腎臓病(進行してしまうと透析に至る)など多岐にわたります。特に心臓や血管に負担がかかるため、動脈硬化が進行しやすくなります。早期発見と適切な管理が重要です。

高血圧を予防するための生活習慣

高血圧を予防するためには、日常生活の中で取り入れられる健康的な習慣が重要です。予防策を実践することで、血圧を正常範囲に保つだけでなく、全体的な健康状態の改善にもつながります。

食事療法で高血圧を予防する方法

高血圧を予防するための食事療法には、塩分を控えることが最も重要です。塩分摂取量を減らすことで、血圧を効果的に下げることができます。具体的には、加工食品やファストフードを避け、新鮮な野菜や果物を多く摂ることが推奨されます。また、DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食は、高血圧予防に非常に効果的です。この食事法では、低脂肪の乳製品や魚、大豆製品を取り入れることが推奨されており、バランスの取れた食事が血圧管理に役立ちます。

運動の重要性と高血圧予防のエクササイズ

運動は高血圧予防において非常に重要な役割を果たします。定期的な有酸素運動は血圧を下げる効果があり、心肺機能の向上や体重管理にも役立ちます。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなど、週に150分程度の中等度の有酸素運動が推奨されています。さらに、筋力トレーニングも取り入れることで、全体的な健康状態の改善が期待できます。日常生活の中で積極的に体を動かす習慣を身につけることが、長期的な高血圧予防につながります。

減塩生活の実践方法

減塩生活は高血圧予防の基本です。日本人の食塩摂取量は高めであり、塩分を控えることが血圧の管理に重要です。加工食品やインスタント食品には多くの塩分が含まれているため、これらを避けることが有効です。自宅で調理する際には、塩を使う量を減らし、レモンやハーブ、スパイスで風味をつける方法を試してみましょう。また、醤油や味噌などの調味料も控えめに使用し、できるだけ減塩タイプのものを選ぶことが推奨されます。外食時も、メニューの塩分量に注意し、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

なお、日本高血圧学会では1日6g未満の食塩摂取が推奨されています。日本人の1日平均塩分摂取量としては10.1g(男性10.9g、女性9.3g)となっており、年齢別では60歳台に多く摂取されている傾向があります(厚生労働省令和元年『国民健康・栄養調査』)。

主な食品別塩分含有量

意外かもしれませんがサンドイッチの方がおにぎりより塩分含有量が多いことはあまり知られていません。まずは、スーパーやコンビニで手に取った食品の成分表をチェックして日々の塩分摂取量を確認することから始めてみましょう。

高血圧と関連する健康リスク

高血圧は多くの健康リスクと関連しています。血圧が高い状態が続くと、心臓や血管に負担がかかり、様々な合併症を引き起こす可能性があります。ここでは、高血圧が引き起こす主要な健康リスクについて詳しく説明します。

高血圧が引き起こす心血管疾患

高血圧は心血管疾患の主な原因の一つです。血圧が高いと、動脈の壁が硬くなり、動脈硬化が進行します。これにより、冠動脈疾患や心筋梗塞、心不全といった深刻な病気のリスクが高まります。特に、冠動脈が狭くなることで心臓に十分な血液が供給されず、心臓の機能が低下する可能性があります。

高血圧と脳卒中の関係

高血圧は脳卒中の主要な原因の一つです。血圧が高い状態が続くと、脳の血管がダメージを受け、血管壁が弱くなります。これにより、脳出血や脳梗塞のリスクが増大します。脳出血は血管が破れて出血する状態であり、脳梗塞は血管が詰まって血流が止まる状態です。いずれも重篤な後遺症を引き起こす可能性があり、早期の予防と管理が重要です。

高血圧と腎臓病:その予防と管理

高血圧は腎臓にも大きな影響を与えます。血圧が高いと腎臓の血管に負担がかかり、腎機能が低下するリスクが高まります。これが慢性腎臓病(CKD)へと進行する可能性があります。慢性腎臓病は初期には自覚症状が少ないため、定期的な血圧測定と血液検査で早期発見が重要です。高血圧による腎臓病を予防するためには、塩分の摂取を控え、適度な運動を行い、適切な体重を維持することが大切です。

高血圧と日常生活の調和

生活習慣の改善により、高血圧のリスクを減少させるだけでなく、全体的な生活の質を向上させることができます。

高血圧と健康的な体重管理

適切な体重管理は高血圧予防と管理において非常に重要です。肥満は高血圧の主要なリスク要因の一つであり、体重を減らすことで血圧を効果的に下げることができます。健康的な体重を維持するためには、バランスの取れた食事と定期的な運動が必要です。特に、カロリー摂取を適切に管理し、適度な運動を行うことが重要です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を日常的に取り入れることで、無理なく体重を管理し、高血圧リスクを減少させることができます。

高血圧と飲み物:アルコールとカフェインの影響

飲み物の選び方も高血圧管理において重要なポイントです。アルコールは適量であれば血圧に大きな影響を与えないとされていますが、過度の飲酒は血圧を上昇させる要因となります。適量の基準として、男性は1日あたりビールなら500ml、ワインなら200ml程度が目安です。一方、カフェインについては、適量の摂取であれば問題ありませんが、過剰な摂取は一時的に血圧を上昇させることがあります。コーヒーやエナジードリンクの摂取量に注意し、適度な範囲にとどめることが大切です。健康的な水分補給としては、水やカフェインレスのお茶を選ぶことをお勧めします。

まとめ

高血圧は多くの人が直面する健康問題ですが、適切な知識と対策を講じることで予防・管理が可能です。高血圧の基本知識を理解し、原因やリスク要因を把握することで、早期発見と対策がしやすくなります。そのためには何よりも血圧を測定することから始まります。血圧を定期的に確認することで自身の健康状態に関心を向けていただくことが重要です。その上で、日常生活において食事療法や運動、減塩生活の実践が重要です。また、高血圧が引き起こす健康リスクについても知り、心血管疾患や脳卒中、腎臓病などを予防するための対策を講じることが大切です。家庭でできる血圧管理やストレス対策を取り入れ、健康的な生活を送ることを心がけましょう。もし、血圧に不安を感じた場合は、いつでもお気軽にご相談ください。

文責:つねだクリニック院長 常田和宏