バセドウ病の原因・症状・治療を専門医が解説|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

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バセドウ病の原因・症状・治療を専門医が解説|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

バセドウ病の原因・症状・治療を専門医が解説

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで体の代謝が異常に高まる病気です。甲状腺は代謝を調整するホルモンを作る大切な臓器で、ホルモンが多くなりすぎる代表的な病気です。ホルモンが過剰になると動悸や体重減少などが起こり、生活に大きな影響を与えます。

バセドウ病と甲状腺機能亢進症の違い

「甲状腺機能亢進症」は甲状腺ホルモンが多すぎる状態を示す言葉で、その原因のひとつがバセドウ病です。他にも一時的な甲状腺炎などでホルモンが増えることがありますが、最も頻度が高いのはバセドウ病です。

自己免疫疾患としての特徴

バセドウ病は自己免疫の異常により、TSH受容体を刺激する抗体(TRAb)が産生されることが原因です。免疫が自分の甲状腺を過剰に働かせてしまうことでホルモンが増え、代謝が上がりすぎる状態になります。

バセドウ病の原因

TSH受容体抗体(TRAb)の働き

TRAbは本来ホルモン分泌を調整する仕組みを狂わせ、甲状腺を刺激し続けます。これにより甲状腺は過剰にホルモンを作り、症状を引き起こします。

遺伝や体質との関係

家族にバセドウ病や他の自己免疫疾患があると発症しやすいことが知られています。体質的な要素が関わるため、生活習慣だけでなく遺伝背景も影響します。

頻度

人口1000人あたり0.2~3.2人と推定されています。

女性に多い理由とホルモンの影響

患者さんの多くは20〜40代の女性で、女性ホルモンの変化や出産を契機に発症する例もあります。免疫系とホルモンバランスの関係が強く関わっています。

ストレスや生活習慣が与える影響

過労や精神的ストレス、不規則な生活が発症のきっかけとなることがあります。直接の原因ではありませんが、体の免疫バランスを乱す要因になり得ます。

バセドウ病の症状

動悸・発汗・手の震えなど代表的な症状

心臓がドキドキする、汗が多い、手が震えるといった症状は代表的です。代謝が高まることで全身が「常に走っている」ような状態になります。

体重減少や疲れやすさ

食欲があってしっかり食べているのに体重が減ってしまうことがあります。代謝が高すぎてエネルギーを消耗するため、疲れやすくなります。

精神面の変化(不安・イライラ・不眠)

気持ちが落ち着かず不安感やイライラが強まったり、眠れなくなったりすることがあります。心療内科の病気と誤解されることもあります。

眼球突出など甲状腺眼症

バセドウ病特有の症状として、目が飛び出して見える「眼球突出」があります。複視(物が二重に見える)や眼の乾燥など生活に支障をきたす場合もあります。

バセドウ病の診断方法

血液検査(TSH・FT3・FT4・TRAb)

診断の基本は血液検査です。TSHが低く、FT3・FT4が高値で、TRAbが陽性ならバセドウ病と診断されます(参考:日本内分泌学会 甲状腺疾患診療ガイドライン2019)。

甲状腺エコー検査

エコー検査では甲状腺が全体的に腫れて血流が増えている様子が確認できます。

甲状腺シンチグラフィー

アイソトープを用いた検査で、甲状腺が活発にホルモンを作っているかどうかを評価します。

※シンチグラフィー検査が可能な医療機関が限られているため、この検査が省略される場合も多いです。

橋本病との鑑別

同じ自己免疫疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)はホルモンが減少することが多いため、血液検査で区別できます。

バセドウ病の治療法

抗甲状腺薬(メルカゾール・プロパジール)

日本では第一選択です。甲状腺ホルモンの合成を抑える薬として、メルカゾール(一般名:チアマゾール)、プロパジール(一般名:プロピルチオウラシル)が使われます。、

放射性ヨウ素治療(I-131内用療法)

通称、アイソトープというカプセル(飲み薬)での治療です。安全で効果が確実であり、甲状腺の腫れを縮小させることができます。甲状腺の細胞を破壊してその働きを抑制する効果がありますが、逆に甲状腺ホルモンの働きが低下しすぎてしまうことで永続的に甲状腺ホルモン薬の補充が必要な場合があります。ただし、実施できる医療機関が総合病院においても限られているためクリニックでは対応困難です。また、バセドウ病による眼の症状が悪化してしまう可能性があることと、妊娠中や授乳中は行えない欠点があります。

手術療法(甲状腺亜全摘出術)

薬が効かない場合や重症例では手術を行うこともあります。術後は甲状腺ホルモン補充療法が必要になることがあります。

薬の副作用と注意点

抗甲状腺薬では肝機能障害や無顆粒球症(白血球が減少する重い副作用)が起こる可能性があり、発熱や咽頭痛が出た際はすぐに受診が必要です。

バセドウ病と生活習慣

食事で気をつけたいヨウ素の摂取

海藻類の食べ過ぎは治療効果を弱める可能性があります。ヨウ素を控えつつ、バランスの良い食事を心がけましょう。

適度な運動と休養

強い運動は動悸や不整脈を悪化させることがあるため、体調に合わせて軽めの運動から始めましょう。

ストレス管理と睡眠の工夫

ストレスが症状を悪化させることがあるため、十分な睡眠とリラックスを意識することが大切です。また、喫煙は薬の効果を弱くさせたり、眼の症状を悪化させることがあるため、禁煙を心がけましょう。

バセドウ病と合併症

心房細動や心不全との関連

ホルモン過剰は心臓に負担をかけ、不整脈や心不全を起こすことがあります。特に高齢者では注意が必要です。

骨粗鬆症リスク

代謝が高すぎると骨の分解が進み、骨粗鬆症のリスクが高まります。

妊娠・出産への影響

未治療のまま妊娠すると流産や早産のリスクが上がります。妊娠を考える場合は必ず主治医に相談してください。

バセドウ病と妊娠・出産

妊娠を希望する場合に注意すべきこと

妊娠前にホルモン値を安定させることが大切です。薬の種類によっては妊娠中に使用できないものもあります。

妊娠中の薬の使い方と管理

妊娠初期はプロパジール、妊娠中期以降はメルカゾールを少量使うなど、状況に応じて薬を調整します(参考:Endocrine Society Clinical Practice Guideline 2016)。

出産後に起こりやすい甲状腺機能の変化

産後はホルモンバランスが大きく変化し、一時的に甲状腺の状態が悪化することもあります。

バセドウ病の患者さんがよく抱える疑問

バセドウ病は完治するのか?

薬だけで治る方もいますが、再発の可能性もあります。放射性ヨウ素治療や手術で根治を目指す方法もあります。

再発リスクはあるのか?

治療後も数年以内に再発することがあるため、定期的な通院が欠かせません。

日常生活や仕事への影響は?

治療でホルモンが安定すれば、普段の生活や仕事に大きな制限はありません。

伊丹市でバセドウ病の検査や治療を受けたい方へ

地域の内科・甲状腺専門外来の選び方

甲状腺の知識を持ち、血液検査やエコーを受けられる医療機関を選ぶことが大切です。

当院での診療の流れ

当院では問診・血液検査・甲状腺エコーを組み合わせて診断し、患者さんと相談しながら治療を進めています。

まとめ

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰になる病気で、動悸や体重減少、眼球突出など多彩な症状を引き起こします。血液検査とエコーで診断し、薬・放射線・手術など適切な治療を行えば、日常生活を取り戻すことが可能です。伊丹市をはじめ、川西市、宝塚市、尼崎市、池田市からも多くの患者さんが来院されていますので、不安を感じた方はぜひお気軽にご相談ください。

(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)