いまさら聞けない糖尿病の基本④ インスリン治療とは?
- 2025年3月26日
- 糖尿病について
インスリン治療とは?基本の知識
インスリンは血糖値をコントロールするために不可欠なホルモンです。1型糖尿病では膵臓がインスリンを分泌できないため、必ずインスリンを補う必要があります。一方で 2型糖尿病でも、膵臓の働きが低下してインスリンの分泌が不足すると、インスリン治療が必要になることがあります。
インスリン治療は、一度始めるとずっと続けなければならないと考えがちですが、一時的な使用で血糖コントロールを改善し、経口薬に戻せる場合もあります。インスリン治療=「最終手段」ではなく、「血糖値をしっかり管理するための強力な味方」ですので、 正しい知識を持ち、自分の病状に適した治療を受けることが大切です。
インスリン治療の目的
✔ 血糖値を適切にコントロールし、合併症を防ぐ
✔ 体内のインスリン分泌不足を補う
✔ 生活の質(QOL)を向上させる
インスリンの役割と必要な理由
インスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として利用する役割を持っています。基本的には1日を通じて分泌されており、食事のタイミングで一時的に過剰に分泌されます。
インスリンが不足すると?
✔ 血糖値が上昇し、エネルギー不足に
✔ 糖尿病の合併症(神経障害・腎症・網膜症)が進行
✔ 動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増大
そのため、適切なタイミングでインスリン治療を導入することが重要です。
インスリン治療が必要になるケース
以下のようなケースではインスリン治療が必要になります。
✔ 1型糖尿病(膵臓からインスリンが分泌されない)
✔ 2型糖尿病で食事療法・運動療法や内服薬で血糖値の管理が難しい場合
✔ 高血糖が長時間続き、膵臓のインスリン分泌能力が低下した場合
✔ 妊娠糖尿病で血糖コントロールが必要な場合
✔ 手術や急性疾患(感染症・脳梗塞など)で一時的に血糖管理が必要な場合
「インスリン治療=糖尿病が悪化した証拠」ではなく、血糖を適切にコントロールするための選択肢の一つです。早期に適切な治療を行うことで、膵臓の機能を保ち、合併症のリスクを減らすことができます。
インスリン製剤の種類と特徴
インスリン製剤は、作用時間の違いによって分類されます。それぞれの特性を理解し、適切に使用することが重要です。
超速効型インスリン(食直前に使用)
超速効型インスリン は、食事の直前に投与し、食後の血糖値の急上昇を抑えるために使われます。
特徴
✔ 効果発現が早く(注射後、約15分以内)、作用時間は3~4時間と短い
✔ 食事の摂取量に応じて調整が可能
✔ 作用が短時間のため、低血糖のリスクが比較的少ない
代表的な製剤
ヒューマログ(インスリンリスプロ)、ノボラピッド(インスリンアスパルト)、アピドラ(インスリングルリジン)
「食事のたびに注射するのが面倒…」と感じる方もいますが、血糖値の急上昇を防ぐには非常に効果的なインスリンです。
持効型インスリン(1日1回の投与で血糖を安定化)
持効型インスリン は、1日を通して基礎的な血糖コントロールを行うために使用されます。
特徴
✔ 作用時間が24時間以上と長く、1日1回の投与で済む
✔ 食事の影響を受けず、血糖値を安定させる
✔ 夜間や空腹時の血糖を安定させる
代表的な製剤
ランタス(インスリングラルギン)、トレシーバ(インスリンデグルデク)、レベミル(インスリンデテミル)
混合型インスリン((超)速効型+中間型の組み合わせ)
混合型インスリン は、食後の血糖上昇を抑えながら、1日の血糖管理を行うために使用されます。1日4回の注射が難しい方に使用されることが多いです。
特徴
✔1日2回(朝・夕)の投与が一般的
✔食後血糖と基礎血糖の両方を管理できる
✔食事のタイミングと量に注意が必要
代表的な製剤
ノボラピッドミックス、ヒューマログミックス
インスリン治療の実践方法
インスリン治療を成功させるには、正しい方法で投与し、生活習慣とバランスを取ることが重要です。
インスリン注射の正しい方法
インスリンは皮下注射で投与します。正しい注射方法を守ることで、効果的に血糖値を管理できます。
✔ 注射部位:腹部、大腿部、腕の皮下脂肪が多い部分が適している。
✔ ローテーション:同じ場所に繰り返し注射すると皮膚が硬くなるため、部位を変えながら注射する。
✔ 空(から)打ち:ペン型インスリンでは、空気を抜いてから注射する。
低血糖のリスクと対策
インスリン治療では、血糖値が下がりすぎて 低血糖 になるリスクがあります。
低血糖の症状
✔ 冷や汗、動悸、ふるえ
✔ 強い空腹感、めまい
✔ 意識障害(重症の場合)
低血糖の対処法
✔ ブドウ糖を含むジュースやキャンディーを摂取する
✔ 食事の時間を守り、過度なインスリン注射を避ける
✔ 運動時の前に捕食を取る
低血糖は危険なので、しっかり対策をすることが大切です。
インスリン治療を続けるための工夫
インスリン治療は長期的な管理が必要です。無理なく続けるための工夫を取り入れましょう。
✔ 血糖測定器を活用し、血糖値の変化を記録
✔ 定期的に医師と相談し、治療プランを見直す
✔ 食事・運動と組み合わせて、インスリンの使用量を適切に調整する
まとめ
インスリン治療は、糖尿病の血糖コントロールにおいて重要な役割を果たします。インスリン製剤の種類や使用方法を理解し、適切に管理することで、生活の質を維持しながら治療を続けることができます。
当クリニックでは、患者さん一人ひとりに合ったインスリン治療をサポートしています。伊丹市、川西市、宝塚市にお住まいの方で、インスリン治療について疑問がある方は、お気軽に当クリニックへご相談ください。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)