結腸癌の症状・検査・治療を解説!
- 2025年5月19日
- 結腸癌について
結腸癌は、大腸の中でも結腸と呼ばれる部分に発生するがんです。大腸癌の一種であり、盲腸からS状結腸までの範囲にできる悪性腫瘍を指します。大腸癌は結腸癌と直腸癌に分けられ、それぞれ症状や治療法に違いがあります。この記事では、結腸癌の症状、診断、治療、予後などについて、医師の立場から解説します。
結腸癌と直腸癌の違いとは?
結腸癌は大腸の上部に位置する結腸に発生するのに対し、直腸癌は肛門に近い直腸に発生します。直腸は骨盤内に位置するため、治療の際に神経や他の臓器との関係が複雑になることがあります。一般的に結腸癌の方が手術しやすい部位にあるとされ、転移や再発のパターンにも違いがあります。
結腸癌が多く見られる部位とその特徴
結腸癌はS状結腸や上行結腸、横行結腸など、さまざまな場所に発生します。特にS状結腸は便が滞留しやすく、炎症が起こりやすいことから発生頻度が高いとされています。また、右側の結腸癌は症状が出にくく、進行してから発見されることが多いです。それぞれの部位によって症状の出方や早期発見の難しさも異なるため、注意が必要です。
結腸癌の初期症状と気づきやすいサイン
結腸癌は早期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、定期検診で発見されるケースも少なくありません。しかし、進行とともに明らかな症状が現れることもあり、見逃さないことが大切です。
血便・便秘・下痢など見逃されやすい症状
結腸癌の初期症状は、血便、便秘、下痢など、日常的な消化器症状と似ているため、見逃されがちです。特に、血便は痔と誤認されることが多く、注意が必要です。また、便通の変化が続く場合や、便が細くなる、腹部膨満感があるなどの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。
結腸癌の進行による症状の変化
がんが進行すると、腹痛や貧血、食欲不振、体重減少などの全身症状が現れることがあります。特に腸閉塞を起こす場合には、激しい腹痛や嘔吐を伴うこともあるため、早期発見・早期治療が重要です。
結腸癌の検査方法と診断の流れ
結腸癌の確定診断には複数の検査が必要です。早期発見のためにも、検診や気になる症状があった際には適切な検査を受けることが重要です。
大腸内視鏡・CT・腫瘍マーカーの役割
大腸内視鏡検査は、結腸内を直接観察し、病変を発見するための重要な検査です。CT検査は、腫瘍の大きさや他臓器への転移の有無を評価します。また、腫瘍マーカー(CEAやCA19-9)は、治療効果の判定や再発の早期発見に役立ちます。これらの検査を組み合わせることで、より正確な診断と治療が可能となります。
ステージ診断と転移の有無の確認方法
結腸癌の治療方針を決定するためには、病期(ステージ0〜IV)の診断が不可欠です。ステージは、腫瘍の深さ(T因子)、リンパ節転移の有無(N因子)、遠隔転移の有無(M因子)によって分類されます。CTやMRI、PET-CTなどの画像検査を用いて、これらの因子を評価します。また、内視鏡検査や病理検査の結果も総合的に考慮されます。正確なステージ診断により、手術、化学療法、放射線療法などの最適な治療法を選択することが可能となります。
結腸癌の治療法と選択肢
結腸癌の治療は、がんの進行度や患者さんの体調によって異なります。主に手術、抗がん剤(化学療法)、放射線治療の3つが基本となります。
手術・抗がん剤・放射線治療の違い
- 手術: がんを物理的に切除する方法で、早期の結腸癌では第一選択となります。早期であれば内視鏡による切除が可能ですが、進行がんの場合は開腹または腹腔鏡手術が一般的です。
- 抗がん剤(化学療法): がん細胞の増殖を抑える薬物療法で、手術後の再発予防や転移がある場合に使用されます。
- 放射線療法: がん細胞に放射線を照射して破壊する方法で、主に直腸がんに対して行われますが、結腸癌ではあまり一般的ではありません。
治療法の選択は、がんの進行度や患者さんの全身状態に応じて決定されます。
結腸癌のステージ別治療方針
結腸癌の治療方針は、がんの進行度(ステージ)によって異なります。
- ステージ0〜Ⅰ: 内視鏡的切除や手術が主な治療法です。
- ステージⅡ: 手術が基本ですが、再発リスクが高い場合は術後補助化学療法が検討されます。
- ステージⅢ: 手術と術後補助化学療法が標準治療です。
- ステージⅣ: 遠隔転移がある場合は、手術、化学療法、放射線療法などを組み合わせた治療が行われます。場合によっては緩和ケアが選択されることもあります。
結腸癌の予後と再発リスク
治療後の予後はステージによって大きく異なりますが、早期発見であれば高い治癒率が期待できます。再発リスクに備えた長期的なフォローアップも重要です。
ステージ別の生存率と治療後の経過
結腸癌のステージ別5年生存率は以下の通りです。
- ステージⅠ: 約90%
- ステージⅡ: 約80%
- ステージⅢ: 約60%
- ステージⅣ: 約10%
一般にステージIでの5年生存率は90%以上と高く、ステージが進むにつれて低下します。術後は定期的な画像検査や血液検査を受け、再発の早期発見につなげることが大切です。
再発予防のために大切な生活習慣
結腸癌の再発予防には、以下の生活習慣が推奨されます。
- バランスの良い食事: 野菜や果物、食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。
- 適度な運動: 週に150分程度の中等度の運動が推奨されます。
- 禁煙・節酒: 喫煙や過度の飲酒は再発リスクを高めるため、控えましょう。
これらの生活習慣は、がん予防にも効果的です。
結腸癌の原因と予防法
結腸癌は生活習慣と深く関係しているとされ、予防可能な要因も多く存在します。日々の意識が、将来の健康を守る一歩になります。
食生活・喫煙・運動不足との関係
結腸癌の発症リスクは、生活習慣と密接に関連しています。
- 食生活: 赤肉や加工肉の過剰摂取はリスクを高めます。
- 喫煙: たばこに含まれる有害物質が発がんを促進します。
- 運動不足・肥満: 身体活動の低下は腸の運動を鈍らせ、発がんリスクを上げます。
これらの生活習慣を見直すことで、結腸癌の予防につながります。
早期発見につながる定期検診のすすめ
結腸癌は早期発見・早期治療が重要です。
- 便潜血検査: 年に1回の検査が推奨されます。
- 大腸内視鏡検査: 50歳以上の方や家族歴があるなどリスクの高い方は、定期的な検査が望ましいです。
結腸癌は早期であれば自覚症状が乏しいため、定期検診を受けることで、がんの早期発見・治療が可能となります。
まとめ
結腸癌は、早期であれば治療可能ながんの一つです。症状に気づいたら早めに検査を受けること、予防のための生活習慣を整えることが大切です。当院では、伊丹市、川西市、宝塚市など近隣地域の方々に対して、わかりやすく丁寧な診療を心がけています。気になる症状や健康診断の結果で不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)