甲状腺の健康を守るために知っておくべきこととは?|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

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甲状腺の健康を守るために知っておくべきこととは?|つねだクリニック|伊丹市鴻池の内科・糖尿病内科

甲状腺の健康を守るために知っておくべきこととは?

甲状腺の基本とその役割

甲状腺は首の前側、喉仏のすぐ下に位置する蝶の形をした小さな臓器で、体内のさまざまな機能に重要な役割を果たしています。この甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体の『新陳代謝』を調整し、エネルギー産生や体温の維持、心拍数の調整などに関与しています。甲状腺が正常に機能していることは、全身の健康にとって不可欠です。このホルモンのバランスが崩れてしまうことで生じる様々な症状を引き起こす病気があります。本日は甲状腺の役割やその重要性について詳しく説明していきます。

甲状腺とは何か?その役割と重要性

甲状腺からは、全身の代謝を調節する重要なホルモンが分泌されています。甲状腺ホルモンと呼ばれるトリヨードサイロニン(T3)およびサイロキシン(T4)というホルモンが分泌され、全身に運ばれて作用します。また、代謝とは、食事から得た栄養素をエネルギーに変換し、体の機能を維持する一連の化学反応のことです。

甲状腺ホルモンは、

・エネルギー産生(暑がり/寒がり、汗かき/汗が出ない、体重減少/増加)

・精神症状(いらいら/ぼーっとしている)

・消化器症状(食欲亢進/低下、下痢/便秘)

・循環器症状(脈が早い/遅い、血圧が高い/低い)

などの全身の代謝に影響を与えます。甲状腺の健康を保つことは、全身の健康に直結しており、定期的な健康チェックが欠かせません。

さまざまな甲状腺の病気

甲状腺ホルモンのバランスが崩れてしまい、代謝が亢進/低下してしまう様々な病気があります。症状は下記のようにどちらか2種類に別れることが多いです。

次に、甲状腺に関する代表的な病気を挙げます。

甲状腺ホルモンが過剰(代謝亢進)な代表的な病気

 ・バセドウ(Basedow)病

 ・プランマー(Plummer)病

 ・亜急性甲状腺炎

 ・無痛性甲状腺炎など

甲状腺ホルモンが低下(代謝低下)する代表的な病気

 ・慢性甲状腺炎(橋本病)

 ・(先天性)甲状腺機能低下症

 ・甲状腺手術または放射線治療後甲状腺機能低下など

その他

 ・甲状腺腫瘍など

甲状腺の異常において初期では自覚症状は少ないと言われておりますが、上記症状や喉の違和感・腫れなどをご自身でチェックしてみましょう。

甲状腺の健康状態をチェックする方法

甲状腺の健康を維持するためには、定期的なチェックが欠かせません。一般的には、会社の定期健診や市民検診においては甲状腺の触診検査はされるものの、血液検査や甲状腺に関する詳細なエコー検査などが含まれていることはかなり稀です。甲状腺の異常は初期段階では自覚症状が少ないですが、上記のような症状が認められれば早期に専門医療機関を受診して検査をすることが重要です。

甲状腺のセルフチェック方法

甲状腺のセルフチェックは、自宅で簡単に行うこともできます。まず、鏡の前に立ち、首の前面を観察します。喉仏のすぐ下、甲状腺が位置するあたりに腫れやしこりがないか確認しましょう。また、軽く触れてみて痛みや違和感がないかもチェックします。さらに、水を飲み込む際に甲状腺の動きを観察することも有効です。飲み込むときにしこりや異常な動きが見られた場合は、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。

また、甲状腺の病気は女性に多く見られ、遺伝しやすいことも報告されているため血の繋がったご家族が甲状腺の病気をお持ちの方は症状がなくても早めに一度専門医の診察を受けることをお勧めします。

甲状腺専門医への相談のタイミング

甲状腺に関する異常が疑われる場合、早めに専門医に相談することが重要です。以下のような症状が見られたら、早めに専門医に相談し、適切な検査と治療を受けることが健康維持の鍵となります。

  1. 首の腫れやしこり:甲状腺の腫れやしこりを感じた場合
  2. 急激な体重変化:特に食事や運動量に変化がないのに体重が急激に増減する場合
  3. 疲労感や倦怠感:理由なく疲れやすかったり、常に倦怠感(だるさ)を感じる場合
  4. 心拍数の異常:動悸や心拍数の変動が激しい場合
  5. 家族歴:血の繋がったご家族で甲状腺の病気の方が多い場合

甲状腺疾患の予防と治療法

甲状腺疾患を予防し、適切に治療することは、全身の健康を維持するために非常に重要です。ここでは、甲状腺疾患の予防策や治療法について詳しく説明していきます。

甲状腺疾患の予防策

甲状腺疾患の予防には、日常生活での注意が重要です。以下のポイントに気をつけることで、甲状腺の健康を維持し、疾患の発症リスクを減らすことができます。

適切なヨウ素摂取

甲状腺ホルモンの生成にはヨード(ヨウ素)が必要です。ヨード(ヨウ素)は海藻類やうがい薬に多く含まれており、日本では海藻類を多く摂取するため欠乏することがほとんどありません。しかし、逆に過剰に摂取することで甲状腺ホルモンの低下を引き起こすことも知られています。過不足なく適量を摂取することが大切です。

バランスの取れた食事

ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで、甲状腺の機能をサポートします。特に、セレンや亜鉛は甲状腺の健康に役立ちます。

定期的な運動

運動は全身の健康を促進し、甲状腺の機能もサポートします。適度な運動を続けることで代謝を保ちましょう。

ストレス管理

ストレスは甲状腺の機能に影響を与えることがあります。リラクゼーション法や趣味を楽しむことでストレスを軽減しましょう。

定期検診

定期的に健康診断を受け、甲状腺の状態をチェックすることが重要です。早期発見・早期治療が予防の鍵となります。

甲状腺疾患の治療法

甲状腺ホルモンの状態に応じて様々な治療法があります。甲状腺ホルモンの不足に対しては軽度であれば、ヨード(ヨウ素)摂取の調整が治療になる場合もありますが、顕著な場合は甲状腺ホルモン補充療法がお勧めされます。

逆に甲状腺ホルモンが過剰な状態においては、過剰なホルモンを抑える飲み薬が第一選択となる場合が多いです。それでも調整が困難な場合には放射線治療や甲状腺手術の選択肢もあります。また、同じ甲状腺ホルモンが過剰な病気でも原因によっては自然に回復する場合もありますのでまずは一度専門医を受診することをお勧めします。

まとめ

甲状腺の健康を維持することは、全身の健康を保つために非常に重要です。甲状腺は全身の『代謝』を調整し、エネルギーの産生や体温の維持、心拍数の管理など、多くの生理機能に関与しています。この記事では、甲状腺の基本的な役割や甲状腺ホルモンの働き、代謝との関係について説明しました。

さらに、甲状腺疾患の予防策としては、適切なヨード(ヨウ素)の摂取やバランスの取れた食事、ストレス管理、適度な運動と睡眠が重要になります。治療法としては、甲状腺ホルモン補充療法や放射線治療、甲状腺手術などの選択肢があります。

皆さんがこの記事を通じて甲状腺の健康に関する理解を深め、日常生活に取り入れることで、健康で充実した毎日を送れるよう願っています。甲状腺に関する不安や疑問がある場合は、いつでもお気軽にご相談ください。

(文責:つねだクリニック院長 常田和宏)